彼、予約済みです。
第四章【それぞれの想い】

第一節【文化祭は波乱の予感】

夏休みが明け、まだ夏の暑さが残る九月。

学校もまた始まり、元の日常が戻ってきた。

「えー、それでは文化祭の出し物について意見がある人いますか」

十月の文化祭に向けてクラスの出し物について話し合っている。

だけどみんな休み気分がまだ抜け切っていないのか、話し合う気はあまりなさそう。

私は全力で楽しみたいけれどいい案が浮かばない。

どうしようかと思っていると後ろから一つの声が上がった。

「みんな、せっかくの文化祭なんだし全力でやろーぜ。このクラスでできる最初で最後の文化祭なんだからさ!」

そう言ったのはいつもクラスの中心にいる、人気者の千葉陽斗(ちばはると)君。

もちろんモテる。

そしてそんな千葉君が言うことならみんなは素直に頷く。

「まあ、千葉がそう言うなら⋯⋯」という感じに。

「流石、学年一人気者の千葉君だね」

と、すみちゃんは千葉君の方を見ながら呟く。

そのすみちゃんにつられて千葉君を見る。

「そうだね。千葉君の一言でみんな一気にやる気が変わったもんね」

そんなことを言っていると、みんなと話していた千葉君が不意にこちらを見た。

びっくりして急いで前を向く。

(びっくりした⋯⋯。目が合ったような気がするけど⋯⋯そんことないか)
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