短編小説集
エイプリルフール


「大変よ!タケル君が交通事故にあって病院に運ばれたって!」
「…は?」
「…重体らしいわよ」
「え?やめてよそんな冗談。いくら今日がエイプリルフールだからって」
「バカっ!そんな冗談言うわけないでしょ!今、タケル君のお母さんから電話が来たのよ」

そんな…、タケルが…、重体…?
嘘でしょ?
このままケンカ別れなんてイヤだよ。


目の前が真っ暗になり、そのまま体が崩れ落ちた。


「………ッ!!!」
お母さんの声が遠くから聞こえたが、私はそのまま意識を手放した。



「…はっ!タケル?」

目を覚ますと私は机に突っ伏していた。

そうだ!タケルの事を考えていたら、いつの間にか寝落ちしたんだった。

…って事はさっきのは夢…、かーーー
良かった…
ホッと胸を撫で下ろす。

今何時かな?
携帯画面を開いたら16時10分。



「…4月1日」

今日は、エイプリルフールーーー
さっきの夢を思い出し、ゾクリと身体が震えた。

昨夜、ケンカしてしまった恋人のタケルを思い出す。


何でケンカしたんだっけ?

………考えたけど、思い出せない。
そんな事より早く、タケルの声を聞いきたい!
タケルに電話しようとした時、


バタン!
部屋の扉が開いた。
 

「大変よ!タケル君が交通事故にあって病院に運ばれたって!」
「………え?」
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