首取り様4
ゆれる
5つ目の首がついてる……。


佳奈は呆然として5体の首無し地蔵を見つめた。


最後についた首は一生のもので、石になった一生の首は他の首と動揺にキツク目を閉じている。


「嘘だ……」


明宏がかすれた声を上げた。


目が覚めたときに佳奈たちの拘束は解かれていたけれど、それでも誰1人としてそこから動くことはできなかった。


この悪夢に巻き込まれてからの出来事が走馬灯のように佳奈の脳裏を過ぎ去って行く。


最初はなにをやらされているのか意味がよくわかっていなかった。


ただ怖くて、それで一生懸命になっていた。


化け物に襲われて、武器を持つようになって、それでも逃げずに戦ってきた。


大輔は大きなケガをして、自分と明宏は大切な人の首を奪われた。


そしてイケニエが彼らに変わり、それでも大切な人の首は戻ってこなくて……。


だから終われないと思ったんだ。


幸い、三福寺のお守りのおかげで佳奈たちは今も悪夢に関わることができていた。


そしてこの街で起こった様々な歴史を目の当たりにもした。


雨乞いのイケニエや、それに関係する差別、イジメが現代まで息づいていることを知った。


なにも知らない自分を恥ずかしいと感じて、攻めたこともある。


それでも大切な人の首を元に戻すために、決して諦めはしなかった。
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