首取り様4
それは佳奈の目の前へと移動する。


明宏は弾を入れ替え終えることができずに「くっ」と奥歯を噛み締めた。


しかし佳奈は冷静だった。


連射できる銃ならともかく、あまり過信してはいけないと考えていたのだ。


化け物がこちらを見ていたことにも気が付いていたので、反応できた。


大きく足を振り上げて力いっぱい化け物の腹部にめり込ませた。


化け物は2,3歩後ずさりをしてそのまま後ろに倒れ込んだ。


その勢いを殺さないまま、目前まで迫ってきていた3体目に蹴りを入れる。


これで3体ともひとまずは倒れ込んだ。


「今のうちに逃げよう!」


佳奈が叫ぶと大輔が慌てて立ち上がった。


せっかくの猟銃の弾を無駄にはしたくない。


黒い化け物は地蔵に比べれば弱いので、地蔵の足止めの方に使いたかった。


そう思っていても黒い化け物は次々と行く手を阻む。


道に倒れている人々が走るのにも邪魔になり、4人は思うように先へ進むことができなかった。


「地図上では近いのにな」


明宏が苛立ったようにつぶやいた。
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