彼は私を偏愛している
「は?」

「何でもするんでしょ?
君、僕の命を汚したから。死をもって償って」
「何言ってん…だよ……」

「ヒナは、僕の命なんだ。
命そのモノ。ヒナがいるから、僕は生きていける。
僕はヒナが生まれたあの日から、ヒナの為に生きている。好きで、好きすぎて……愛しすぎて、ヒナにしか何の感情も湧かない。
だからね。ヒナを傷つける行為は僕を殺すのと同じなんだよ」

「だからって、なんで……」

「どうせこの情報を僕があるスジに渡したら、君は殺されるんじゃないかな?」

真っ青になっている大枝を、亜舟は何の感情もなく見据えていた。

「頼む。
俺は元、社長の部下じゃないですか!?」

「そうだね」

「もうお前の前に現れないから!」

「それ、当たり前だよね」

「もう二度と、関わらない!」

「………ねぇ」

「え?」

「君はバカなの?」

「は?」

「僕が“何に”怒ってるかわかってる?」

「え………」



「フッ…!!
ハハハッーーー!!!」

突然、葦原が噴き出し大きな声で笑いだした。

「な、なんだよ……!?」
大枝は怪訝そうに亜舟と葦原を見る。

「阿久津、こいつバカだぜ」
「そうみたいだね」

「大枝、俺が教えてやろうか?
阿久津が何に怒っているのか」

「え……」

「阿久津はな。
お前が阿久津のパソコンから情報を盗んだ事に怒ってんじゃねぇんだよ!?
つか、こいつはそんな事で怒るような男じゃない。
阿久津なら、情報を盗まれてもすぐに巻き返せる程の頭脳と実力がある。
お前一応、阿久津の部下だったんだからわかるだろ?」

「え?じゃ、じゃあ…」

「問題なのは、お前が阿久津の命とも言える女を傷つけたこと。それ一点だけだ!」

「━━━━━!!!!?」

「阿久津は、感覚や思考が狂ってるからな。
基本的に、何をされても何も感じない」

「………だからね。
もう、許されないよ」
亜舟は、大枝から一切目をそらさず言い放った。


後日、大枝が自殺しているのが自宅から発見された。

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『いいの?こんな凄い情報、俺に渡しても』
亜舟は葦原に、大枝のパソコンの情報を渡していた。
「葦原に迷惑かけたし。
それに、僕はそんな情報いらない」
『フフ…だろうな(笑)
でも、逆に借りができたみたいになったな。
情報が凄すぎて』
「別にいいよ。葦原には、僕の良い刺激になっててもらえたらそれで」

『ハハハッ!だな!
俺も、お前の会社が張り合いになる!
あ!ちなみに!お前の命に、会ってみてぇなぁー』

「は?それはダメ!」

『フフ…やっぱり(笑)』
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