ドラゴンの歌声
 祖母の家のクーラーが壊れていた。いくらここがいつも自分たちが住んでいる所より涼しいからといって、やはり暑いものは暑い。探検がてらその洞窟を目指す理由としては、充分だった。

 長く人が入っていない林は草が膝当たりまでのびて、歩きにくいことこの上ない。一年生になった妹チカは、小さいので余計に歩きにくいのだろう。ハヤトは妹を振り返って何度も励ます。

 四歳年下の妹は、のんびり屋さんでいじめられやすい。いつの間にか守るのが役目になっていた。
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