一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
グズグズに溶かされた思考回路は動かない。


「やっと会えたんだ。ッつ、俺は日和を絶対に離さないよ」
「あぁっ……なんか、へ、ん……ンンッ、やっ、い、イクッ、や、こわいッ」


 夢でなんどもイッていてもリアルでイクのは初めてだ。唐突に怖いと思った。自分がどうなってしまうのか。
 汗で濡れた肌がもう一度隙間なく触れ合う。冷たいと感じたのはほんの一瞬、すぐに燃えるようにあつくなり、重なっている肌が溶けてしまいそうだ。
 肌と肌がぶつかり合いインテリアもなにもないシンプルな社長室に卑猥な音が響く。
 洸夜が強く腰を突き上げた瞬間官能がはじけ飛んだ。


「日和……」


 艶めいた優しい声で名前を呼ばれ、フワリと服を身体にかけられる。洸夜のジャケットだ。
 ふわふわした所に居座る溶けた思考回路は未だに修繕されていない。


「日和、やっと俺のものになった」


 大切な宝物を抱きしめるように洸夜は日和の頭を撫でた。


「しゃ、社長さん……」
(ちょ、ちょっとまって! 甘い雰囲気に流されかけてた! 社長は何者なの!? 夢の中の男なの!? 淫魔ってあの淫魔!?)


 急いでふわふわしていた思考回路を叩き起
こした。淫魔ってあの夢とかにでてきて女の生気を食い物にするとかいう……え!? 私生気吸われて殺されるの!?
 と、とにかくこの場からにげないと!
 今更身の危険を感じた日和は脱がされた服を急いで拾い身だしなみを整えた。


「もう身体は大丈夫なのか?」
(や、優しく話しかけるな!)
「大丈夫です。このことはお互い忘れましょう。失礼しました!」


 ペコリと頭を下げ後ろにあるドアをめがけて一直線に向かう。


「忘れるってどういうことだ? 日和はもう俺の婚約者だ」


 あと一歩で外に出られるところで腕を捕まれ行く手を閉ざされた。


(KONYAKUSYA? は? この男は淫魔だの、婚約者だのってもしかして嘘をついて私を馬鹿にしてるの?)
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