イジワルな君の一途で不器用な恋心
事件発生

「ギャー! 誰だ! ここに偽ボックス置いたやつ!」

「ふははは。アイテム2個取るんなら、その分損してもらわないと」

「さっすが雷夜くん。あったまいい〜」



日光が射し込むリビングで、テレビゲームに熱中する3人分の声が響く。


寒暖差が多かった春が終わり、季節は初夏へ。


今日はGW最終日。大和のリクエストにより、雷夜が家に遊びに来ている。



「よっしゃ。なんとか逃げ切った」

「また雷夜くんの勝ちかー。つえー」



リザルト画面が表示され、湧き上がる悔しさを抑えながらコントローラーを床に置く。


くっそぉぉぉ、また2位だなんて! 去年までは私のほうが強かったのに!

やっぱバイク乗ってると、こっちの操縦も上手くなるのかしら。


それからも何回か走ったものの、結果は全て、雷夜の一人勝ち。

メンタルとプライドをズタボロにされた私は、強引にレースゲームを終了させ、別のソフトを挿入した。



「うっわ、お前、そこまでして勝ちたいのかよ」

「当然でしょ。今日だけで10連勝してるんだから。次は私が勝利を掴む番よ!」
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