駆け出しの恋
ふわっといい匂いがした。
一面を真っ白な空間が包んでた。
何とも言えない懐かしい感じが広がる。
『トキヤ』
声を聴いて泣き崩れるかと思った。
頬を涙が伝う。
『理沙(リサ)......』
振り返り名前を呼ぶ。
そこには優しく笑う女性が居た。
『トキヤ...幸せになる為に誰かを想って?』
『.な...何を言って』
『私を想っても貴方は辛くしか居られない。私の分...私が愛せなかった分を貴方と一緒に愛して行きたい。』
『....理沙』
理沙の姿が遠ざがる。
『嫌だ!理沙!理沙ぁ!』
俺は泣き崩れた。
『トキヤくん。』
別の誰かの声がした。
知ってる声。
しっとりと濡れた声。
俺は呼ばれる方に歩いていく。