塩彼氏の愛 番外編3 彼氏は辛いよ
「ちょ ちょ ちょっとどいてッッ!!」
と、人集りをかき分けてハナがやってきた。


俺を見つけてニッと笑うと腕に手を絡めて


「あの〜、この人、私の彼氏なんだけど
何かヨウデスカ?」


と、ニッコリ笑って女達を見回す。


ハナの顔を見て一瞬たじろいだ女達。
でも取り巻きの人数の多さに気が大きくなってるようで、途端に女達の悲鳴が奇声に変わり
ギャーギャー言い出す。


なんなのこの女?!
うざいんだけどっ💢


ハナに対して次々に罵声が飛び交う


「…おいッ!💢」
俺が言い返そうとすると
ハナが人差し指を口に当ててシッとすると


「はぁ?!💢アンタらこそなんなのよっ!
こっちは久しぶりのデートなの!!
邪魔しないでよッッ!!」


と、女達に強い口調で威嚇しながら
俺の腕を強く掴み直して引っ張り、あっという間に女達をかき分けて振り切って走り出した。


俺も慌てて歩調を合わせて走る。


少し走って立ち止まり振り返ると
まだ向こうで女達がこっちを見て
ギャーギャー騒いでる


ハナはそれを見て肩をすくめて
ふぅ っと軽く溜め息を吐く


「…まったくもう。ユンちゃんはさ
ちょっとさ、普通では考えられない
次元の違うイケメンなんだからさ
約束時間のピッタリにきてよね!
用事済ませて来るって言うから
念の為少し早めに出たんだよね。
気をつけないと
またいつもみたいに追い出されるよ?
まぁ、ユンちゃんのせいじゃないんだけど…」


苦笑いしながら、腕に絡ませた手を外すと
右手を差し出してきたので


黙ってハナの手を握ると
駅とは反対方向に進み、追いかけて来られると困るので立ち止まらずに歩く。


「…わりぃな」


「何言ってんのよ?!何年ユンちゃんと一緒にいると思ってんの?いつもの事じゃない!笑
お兄ちゃんやコウちゃんもそうだったし、耐性付きまくりだから!あんなんで動じてたらユンちゃんの彼女やってられないよ!笑」



「そっか。…頼もしいな俺の彼女は。
とりあえず、あそこには戻れないから
一駅歩いて行き先決めようぜ…」


「うん!私、買い物行きたい!!いい??」


「オケ、んじゃ、悪いけど
少し歩いてくれ…」


「了解した!笑」


ハナの元気の良い返事にホッとした俺は
軽くため息を吐くと、肩の力がスッと抜けた。
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