イケメンを好きになってはイケません⁈
「いや、まったく文句はないぞ」
 部長が割って入ってきてくれた。

「杉本くんは部内一、気のつく女性だ。このおっちょこちょいを支えてくれるにはもってこいだ。お似合いのカップルだと思うぞ」
 そう言って、わたしたちふたりの肩を後ろから抱いた。

 部長の言葉をきっかけに、みんなも(もちろん、しぶしぶの人もいたけれど)拍手で祝福を表してくれた。

 ほんの数カ月前まで、自分が人の輪の中心にいて、好意的な眼差しを向けられるなんて思ってもいなかった。

 全部、森下くんのおかげだ。

 でも、わたしは森下くんに何ができるだろう。
 ただ、不運をもたらしているだけなんじゃ……

 わたしの心に、また暗い影がさした。
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