イケメンを好きになってはイケません⁈
 もうそんな生活が当たり前になってたのに……
 
 よりによって社内随一のイケメンが接近してくるなんて。

 しかも森下くんは顔がいいだけじゃない。

 最近、仕事でめきめきと頭角を現してきた。
 でも、そんなできる自分をまったく鼻にかけないし、さっぱりした気性だから同性からも好かれていて。
 
 そんな人に、たとえ一時の気の迷いとしても好意を示されたら……

 よほどの天邪鬼じゃなきゃ好きにならずにいるのは難しい。

 でも、冷静に考えれば彼と両想いなんて、そんなことはあるはずない。

 だって、会社一の美女や才女も彼に夢中だし。

 森下くんが示してくるわたしへの興味は、美味しい食事に飽きてちょっと珍しいものでも食べてみよう、なんてそんな軽い気持ちだと思う。

 そう。

 わたしが相手にしなければ、すぐに飽きるだろう。


 そう、たかを括っていたのだけれど。
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