イケメンを好きになってはイケません⁈
 こんな、極上のさらに上を行くような超美形を好きになってしまったら、今度こそ最悪の結末が待っているような気がして……

 お願い、わたしのことはほっておいて。

 本当はそう言いたい。
 でも親切で悪気のない彼にそんなこと、面と向かって言えないし。

 わたしの心の葛藤を知る由もない森下くんは、自席にカバンを置くとすぐ、今日も決定事項のようにわたしの席までやってくる。

「杉本さん、3年前のベトナムの工場と取引したときの記録って、どこにあるかわかります?」

 わたしはなるべく抑揚のない、そっけない声で答える。

「左から二番目の棚の中段のピンクのファイルだと思うけど。2018年3月~5月ってラベル貼ってあるから」
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