溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
駅近のこの公園だって,近くのワンイヤーだってポックだって。

この市丸ごと俺達の庭みたいなもの。



「もー帰る?」

「えー早くない?!」



そりゃあ特に行くとこも行くお金もないけどさ。

8時から遊んでて,まだ11時半。

ポックでポテトとジュースを買う位は,お互いお金も残っている。

なのに真香がそんなことを言うのは,凄く珍しいと思った。



「あのね,千夏」



緊張を孕んだ小さな声に,俺は不安に思いながらも



「何?」



と返す。

いつもと違う。

それは今日1日,真香の色んな所に現れていて。

何となく,この大事な関係が無くなるような気がして。

もう終わりなのかなと漠然と思った。



「もう,私千夏と2人で遊ぶの,やめようと思う」



あぁほら。

……幼馴染みって,なんだろう。



「皆で遊ぶ時も,男子しかいないなら誘わないで。皆にも,出来れば代わりに断って欲しい。でも……美希とか一緒なら,私もいるかもしれない」
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