桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
シャボン玉と唯人


 *


 美桜は子供達と共に病院の中庭へとやって来た。H形をした病院の中庭には、芝生が敷かれているのだが、今は冬のため茶色く枯れた芝生が歩くたびに、カサカサと音をたてた。

「みんな、わかってると思うけど、走ったりしたらダメだよ。少しでも体調が悪くなったら私に言ってね。無理は絶対にしないこと。約束が守れる子は、元気に遊ぼう。」

「「「はーーい」」」

 元気に返事を返してくれた子供達の笑顔に、美桜も笑顔になった。 

 うん。

 みんなとっても可愛い。

 美桜は少し離れた場所から子供達を見守ることにした。いつ何が起こっても良いように、PHSを首から提げ、すぐに連絡が出来るようにした。ついでにAEDも用意していると、女の子達が冬の割に温かい気温の中庭にござを敷き、おままごとを始めている。男の子達は時々走り出してしまう子もいて、美桜をハラハラさせた。

 枯れた芝生の上を転げ回り、体中に茶色い葉を付けている男の子達。

 最後に枯れた芝生の葉を取るのが大変そうね。

 美桜は「はぁーー」と大きく息を付いた。

 男の子達は女の子と違って落ち着いていられないわね。

 それも仕方ないか……。




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