この政略結婚に、甘い蜜を
華恋がそう言って指を見つめていると、「まだマニキュア乾いてないから動かしちゃダ〜メ」と零に手を取られ、テーブルに縫い付けられてしまう。

「時々、マニキュア塗らせてくれない?華恋のことだから、きっと自分からは塗らないでしょ?」

「うっ……。そうですね、こんなに素敵なマニキュア、使わないと勿体無いので……」

華恋が頬を赤く染めながら言うと、零はニコニコと上機嫌になる。華恋は、零にずっと手を取られていることにどこか恥ずかしさを覚えていた。

(零さんとのキスも、手を繋ぐのも、まだまだ慣れないわ)

顔を真っ赤に染めている華恋は知らない。零が心の中で思っていることを……。

(華恋の手にいっぱい触れることができるから、この時間が好きなんだよね)

夫婦の甘い時間のひと時だった。





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