最初で最後の恋をする
「みやび様、準備は整いましたでしょうか?」
大学終了後、一度屋敷に帰ってきたみやび。

冴木がノックして、みやびの部屋に入ってくる。

「えぇ…」
「━━━━━!!!?」
「冴木?」

「綺麗だ…」

「え?」
「あ////やはりみやび様は、亡くなった奥様によく似ていらっしゃいますね……!」
「そうかな?」

「えぇ、本当に美しい……!」
冴木はしばらく、みやびから目をそらせずにいた。


そしてパーティー会場内━━━━━━━━

「会長、今日からご令嬢が来られるとか?」
「あぁ。娘も成人したから、これからは出席させようと思ってるんだ」
「波牙グループのご令息も来られるらしいですな」

「あ?あぁ…」

「そして花菱(はなびし)家のご令息も、かなりの美青年ですからなぁ」
「確か…今年は“奇跡の二十歳”と言われてるとか?」

「奇跡の二十歳?」

「はい。
会長のご令嬢はもちろん。
波牙家のご令息や、花菱家のご令息も、かなりの美青年。
皆様、今年成人式を迎えた方ばかりですよ」

波牙、國枝、花菱は、今や三大財閥グループと言われている。
高貴の財閥グループだ。

「だから“奇跡”なのか」

「はい。凄い世代でしょ?」
「そうだな…」


そして、会場がざわつき出した。

「みやび様よー」
「あれが、國枝家のご令嬢か…」
「綺麗…」
みやびが現れると、出席者はうっとりとして口々に呟いた。

「お父様、お待たせしました」
「あぁ。遅かったな」
「ごめんなさい、準備に手間取ってしまって」
「お前……あいつに似てきたな……!」

「え?それって、お母様?」
「あぁ」
「フフ…冴木も、同じこと言ってくれたの!
嬉しい!」
「いや、もしかしたらあいつよりも……」
「え?お父様?」
「ううん。凄く綺麗だ、みやび」
「ありがとう!お父様」

「これは、想像以上の美しさだ!」
「まさか、ここまでとは……!」
父親と話していた出席者達も、感心したように言った。

「冴木」
「はい」
「みやびを“くれぐれも”頼む」
鋭い瞳で見つめられ、冴木は大きく頷いた。


「ご挨拶が遅くなって申し訳ありません!
國枝 みやびです。今後とも、よろしくお願い致します!」


パーティーも中盤に差し掛かった頃━━━━━━

「━━━━━冴木。ちょっとお手洗いに行ってくるわね」
「え?でしたら、僕もお近くまでお供します!」

父親が仕事関係の話をしだした為、みやびはその場にいたくなくて席を外そうとしていた。
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