これは、ふたりだけの秘密です
ある朝、郁杜が仕事に出かけてから真理亜が目を覚ました。
怜羽が真理亜のオムツを変えようとした時、
なんとなく真理亜の身体が熱っぽいのに気がついた。
生まれてから病気らしい病気をしていなかったので怜羽は焦ってしまった。
真理亜が検診を受けているかかりつけ医に電話で相談すると、
『咳などの症状もなく、機嫌が良くて水分も取れているならあまり心配はいらないので様子を見ましょう』との判断だった。
確かに真理亜はケロッとしていて元気そうだし、食欲もある。
怜羽は指示通り、真理亜とゆっくり部屋で過ごすことを決めた。
ただ、念のため近くの救急病院を教えてもらっておいた。
夕方になると、真理亜が少しぐったりしたように思える
熱も37度台から38度に上がってきた。
「どうしよう……」
真理亜がここまで体調を悪くしたのは初めてのことだ。
「誰か……西原さんに来てもらおうか……」
家政婦の西原の顔が浮かんできた。だが、そろそろ小松原家では夕食の時間だろう。
(いけない、これくらいで頼っていたら……)
ひとりでも育てていこうと覚悟したくらいだ。
このくらいのことに対応できなければ母親失格だと怜羽は思った。