【完結】私、実はサレ妻でした。


「ただいま、みんな」

「おかえり、ママ。早かったね?」

「う、うん。 ママ友の子供が、急に具合悪くなっちゃって……。それで早めにね、切り上げることにしたの」

 私は宍倉円香に会いに行ったなんて疑われても困るから、そうウソをついた。

「そっか。 でもちょっとは、気晴らしになったんじゃないか?」

「ま、まあね。……楽しかったよ」

 楽しかった訳がない……。宍倉円香に直接会って、宍倉円香が魅力的な女性だということは、よく分かった。
 だからこそ、余計に腹が立った。 ものすごく、ムカついた。  

「そっか。良かったな」

「……うん。 あ、夕飯すぐに作るね」

「あ、ありがとうママ」

「うん」

 ねぇあなた、あなたはどうして宍倉円香と浮気なんてしたの……?
 どうして、その相手が宍倉円香だったの?……あなたには、私という妻がいるじゃない。

 ねぇ、どうして?私じゃ満足出来なかった? ……私、あなたに何かした?
 
「……っ」

 無性に腹が立って、私は俯いて唇を噛み締めた。

「ママ、子供たちがアイス食べたいって」

「……え? あ、じゃあ一本だけにして」

「分かった。バニラ味でいい?」

「うん」 

 子供たちがアイスを食べたいと言っているらしいので、一本だけあげることにした。
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