【完結】私、実はサレ妻でした。


「好き嫌いしてると、大きくなれないよ流斗」

 と言い聞かせてはいるのだけど。

「だっておいしくないんだもんっ!」
 
「流斗、ママが作ってくれたんだぞ? それなのに残したら、ママ悲しくなっちゃうだろ?」

 どうしようか迷っていたら、夫が流斗にそう言ってくれた。

「パパ……」

 夫はやっぱり、こうやって子供たちのことを考えてくれている。
 ーーーそんな人が浮気なんてするはず、ないわよね?

「え~」

「ほら、ご飯と一緒に食べれば美味しいぞ?」

 夫が笑顔で流斗にそう言うと……。

「……はぁーい」

 流斗は頑張って、グリンピースを食べてくれた。

「よーし!偉いぞ流斗!」

「りゅうと、えらい!」

 夫は流斗を抱き上げると、流斗の頭をガシガシと撫でた。
 
「グリンピース、ちゃんと食べられたじゃないか流斗!」
 
「う、うんっ!」

 こういう光景だけを見ていると、夫が浮気をしているなんてどうにも信じがたい。
 浮気しているなんてのは、あり得ないとさえ思ってしまう。

 こんなにも子供思いの父親なのに、私と子供たちを裏切ることなんてするのかな……。
 そう思いたい気持ちが、どこかにあった。

「ほーら二人とも!早く食べちゃってよ!片付けられないでしょ?」

「お、そうだったな」
 
 二人とも席に戻り、オムライスを再び口にする。
< 7 / 76 >

この作品をシェア

pagetop