【完結】私、実はサレ妻でした。

【別々の道】



「あなた、今までありがとう。……至らなくて、本当にごめんね」

「俺の方こそ、本当にごめんな」
  
 その翌日、私たちはついに離婚した。 離婚届は私が役所に提出した。

「……子供たちには、これからもたくさん愛をあげてね」

「ああ」

 子供たちは寂しいと思うけれど、私はこの決断が間違っているのは思ってない。
 私たちがこの道に進むことは、私たちの次のステップだと思っているから。

「子供たちとは、たまに電話してあげてね。……あの子たちは、あなたのこと大好きなんだから」

 あの子たちにとって、父親はあなた一人だけなんだから。
 
「……ああ、分かったよ」

「この六年、楽しかったよ。……あなたと幸せになれたこと、これからもいい思い出になると思う」

「実乃梨……」

 あなたと結婚して、幸せになれたことは私の中では最高の思い出よ。 
 子供たちという素敵な宝物まで残してくれたのだから。

「あなた、身体には気を付けてね。 ちゃんとご飯、食べなきゃダメだよ」

「ああ。ありがとう」

 夫(もう元だけど)との夫婦としての最後の挨拶を交わした私は、子供たちを連れて実家へと向かった。
 これから私たちは別々の道に進むけれど、お互いの幸せを願っていることに間違いはない。
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