ノート
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流行も、最近のことも知らない俺は、背中にランドセルを背負うことを途中でやめていた子ども。
単純に友達が居なかったから。
誰かが話しかけてくれるんじゃないかと待っているうちに、なかなかそうはいかなくて……
結局は思い出を持つことから、逃げたから、小学校のことはたいして覚えていない。
どうにか進学した高校でも友達はいなくて、また登校をやめそうになってた。
そんなある日。
廊下で違うクラスのやつとすれ違った。
一目見ただけだったが、なんだかそいつは自分とそっくりな境遇のやつに見えた。
だって、周りが誰かと話しながら歩いていく中、ひとりだったから。
だから。あいつが好きになった。
でも、あとで知ったこと。
あいつは俺と同じはずなのに。
――友達が、居た。
それから。
俺とは、違うってこと。
大嫌いなはずだったあいつをあのノートを、ストーキング途中で盗み見てからは更に気になり始めていた。
あとをつけて勝手に気になるだなんて、とても勝手だとは思う。
だがどんなやつか、少し観察して、あとは痛め付けて笑おうと、そのくらいだったのに。
気がつけば、もっともっと気になり、嫌いになっていた。隠していたものを無理矢理暴いた快感。優越感。あいつの弱味を握れたことが、何より友情を得た気持ちになって、俺はあいつのことがやっとわかった。そうそう、人間は、こうじゃなちゃいけないんだ。どこかしら惨めでかわいそうじゃなきゃ、誰が、互いに友達なんかやるもんか。
近頃は、なんか急に仲良くなれそうな気がしてきたので、気分が良い。
だから、しっかりと好意から、後をつけている。出待ちもしている。
好きだよ。
俺が慰めてあげる。
ちなみに、この行為を断られたときはなんと言えばいいかも考えてあったりする。
「性格が悪い」と広めてやること。
「好意にたいして失礼だ」と、広めてやること。