一縷
スニーカーの足元を見る。
ビル群の中で、コトリクリーニングの上着を羽織ったわたしは結構浮いていた。
赤信号で立ち止まる。
浮いてても、これは現実だ。
斜向かいの歩道にふと視線を向ける。ちょうど昼下がり。なるほど、このサラリーマンたちは昼休憩中なんだな、と納得した。
そこにはスーツ姿の絹笠さんがいた。隣に並んだオフィスカジュアルな装いをした女性と親しそうに話している。
あ、笑った。
そんなのを見ていたから、青信号に変わったことに気付けなかった。
周りの人に一歩遅れて歩き出す。
現実は、こんなものだ。