一縷
敗忘

白石さんの後輩の友人の友人、である松田くんはまあよく働く子だった。

しかも自動車免許を持っている。配達も行ける。

「あーうち牛乳配達やってたんで、大体場所は分かりますよ」
「え、どこの?」
「商店街の、端っこで。何年か前に店畳んだんですけど」

かなり近所の子だった。年齢が離れているから面識は一切ないけれど、松田くんはコトリクリーニングを知ってくれていたらしい。

「白石さん、好きなお菓子を買ってあげます」
「いやーあたしにとっては赤の他人も同然なんで、大丈夫です」

きっぱり断られた。悲しいけど、本当に助かった。

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