桜が咲く頃に、私は
20時が過ぎ、ファミレスを出て夜の街を翠と歩いた。


いつも翠は私の泊まる場所が見付かるまで一緒にいてくれる、とってもいいやつ。


適当なだけかもしれないけど、それが私にはとてもありがたかった。


「早く泊まる場所見付けてよね。あいつは? 中学の2組の山根とか」


「あいつは私と仲悪かったっしょ。いつも喧嘩してたのに泊めてくれるわけないよね」


「じゃあ……クラス委員だった高村は? あいつ面倒見良かったから、ちょっと脅せば行けるんじゃね?」


「何言ってんの。あいつが面倒見良かったのは内申点上げる為っしょ。クラスのイジメの半分はあいつのせいだったし。そんなやつが泊めてくれると思う?」


何ヶ月も泊まり歩いていると、最初は一泊くらいは泊めてくれるけど、何度もとなると露骨に嫌な態度を取られて泊めてくれなくなる。


きっとそれは当たり前のことで、だからと言って恨むとか腹を立てるとかはなかった。


それが普通。


そう、普通なんだ。


「翠、あんたの家に……」


「あー、無理無理。わかってんでしょ? うちのお母さん、あんたのことチョーーーー嫌ってっから。てか、兄貴に襲われるんじゃね?」
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