俺にしときませんか、先輩。

また、先輩を追いかけたくなった。

今度こそ、捕まえたいと。


俺の提案で関わることの増えた先輩といると、思った以上に楽しくて、嬉しくて。

ただただ一緒にいたいがための恋愛相談。

そんな口実がなくても、会える関係になりたいんだ。





「あーほんとに、なにしてんの、俺」



今日のは完全に失敗。

俺の前で無防備になる先輩に、意識すらされてないんじゃないかってイラついて。

そうじゃないなら、本当はラブレターの送り主も俺の気持ちもなにもかも知ってて、からかってるんじゃないかって思ったりもして。

いっそのことぜんぶ打ち明ければいいのに、それをしたら終わってしまうかもしれない不安が勇気を縮こませる。



姉ちゃんの部屋からこっちに来てくれないかな、なんて、ドアの向こうを見つめてみる。



「どうしたら、好きになってくれるんですか…」



返答のない空間にため息だけが溶けて、ごろんっと寝転がったベッドの上でも睡魔は迎えにきてくれなかった。





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