俺にしときませんか、先輩。

芙紗奈side







『話したいです。放課後、美術室で待ってます。開いてなかったら、前の廊下で待ちます。遅くなってもいいんで、来るまで待ってます』


「…………どうしよ」

「なにが?」

「ふぉっ」


びっくりして首を回す。

耳元にふわっと声を当てた正体は、沙葉だった。


…………み、見られた?
今の、メッセージ。


「なんでもないっ」


とっさに隠したけど、どうだろう。


ちらっと沙葉を見るけど、とくに気にした様子もなくて、私は安堵する。



「サナちゃんにこれ渡すの忘れてて来たんだ」

「ん?」



そそそそ、と。後ろ手にあったものが前に差し出される。

あ、見たことある。
これ……沙葉がいつも持ってる弁当袋の色違い。



「ジャーン! 実はお父さんからサナちゃんへのプレゼントです!」
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