双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「はやくかえろ~」

ふたりが私の手を引き走り出す。

ふたりとも蒼斗さんのことが大好きだ。四人で生活をするようになってからますます笑顔でいることが増えた気がする。

「今日の夕飯はパパが好きなハンバーグにしようか」

「うん。そうしよう。蒼汰もいっしょにつくる」

「優斗もおてつだいする~」

「パパきっと喜ぶね。じゃあ今からスーパーに行こうか」

はしゃぐふたりを車に乗せ始めたその頃。

「絶対に許さない。ぜんぶ、ぜんぶ壊してやる」

私たちの姿を遠くから見つめ、憎しみに満ちた声色でそうつぶやいたその人物の声は私たちには届かない。

幸福と絶望。

相反する感情が入り混じるこの先、あんなことが起こるなんてこのときの私は知る由もなかった。
< 102 / 171 >

この作品をシェア

pagetop