双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「柚希、一度きちんと話をしたい」

グイッ再び引かれた左腕。思わず後方を振り返る。

「今さら話すことなんか」

私にはない。もうあのときに私の中ではすべて終わっている。

それでも。

「柚希……」

向けられたまなざしは切なげで、彼を突き放すことができなかった。

「ふたりは俺の子、だよな?」

そして彼の口から一番恐れていたワードが発せられ心臓がドクンと跳ねあがる。やはり、蒼斗さんは勘付いていたらしい。

それでも、それを認めるわけにはいかない。

「ち、違いますから! 変なこと言わないでください! 失礼します」

また私は彼に嘘を吐き、腕を振り払ってその場を逃げるように後にした。

私はひとりで育てると誓ったのだから。

彼には家庭があり、この巨大病院を継ぐという使命がある。だから私が入り込む隙間なんてない。

あの頃も、今も。

──それは変わらないのだ。
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