双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
もうこうなればうまくこの場をやり過ごすしかない。

「なにかお食べになりますか?」

「ああ。じゃあ……えっと」

「私、取って来るのでここでお待ちいただけますか?」

「ありがとう」

一旦、気持ちを落ち着かせようとそれを口実にその場を離れた。紙皿を手に取り、いくつかのテーブルを周りオードブルのおかずを盛り付け始めた。

ひとまず落ち着け、私。

何度も言い聞かせながら、チラチラと蒼斗さんの様子を窺う。

と、父と蒼汰が蒼斗さんに近づき話し始めた。蒼汰は蒼斗さんがこの前のお医者様だと分かったのか、〝スーパーマン〟と連呼し嬉しそうに蒼斗さんに話しかけている。

なにも知らない父と蒼汰。和やかな三人の様子を見ていると、複雑な気持ちになってしまう。

自然と重たいため息が漏れた。
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