双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
彼は手に持つグラスを父の方に傾けてみせ、そして父に注がれた生ビールを笑顔で口に含んだ。

本当はビールなんて嫌いなのに、そんな雰囲気を微塵も見せはしない。

父は満足したように笑い、少し談笑したのち蒼汰を抱っこして仲間たちのもとへと戻って行った。

なぜか蒼斗さんのことを任されている状態になり、戸惑う。

この状況で彼に接待をしろと?

そもそも仁紀はどういうつもりで蒼斗さんをこの場に呼んだのだろう。

「アルコールに弱いのに大丈夫なのですか?」

周りを気にしながら小声で彼に問いかける。

「少しだけなら大丈夫だ。それにしても、さっきの柚希の慌てぶりには笑ってしまったよ」

頬を赤らめた彼がクスリと笑い私を見つめる。
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