双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
特別なんかじゃなくていい。

地位も名誉もいらない。

普通でいい。ありきたりの日常を愛する人と歩んでいけることこそが、俺にとっての幸福。

柚希と出会い、ずっと一緒に歩んでいきたいと思うようになったが、あのとき研修医の身であった俺は、彼女を幸せにする自信も、誰かの人生を背負う勇気もまだなかった。

だから中途半端に〝結婚〟というワードを出すことはなかったが、一人前の医者になった時にちゃんと気持ちを伝えようと思っていた。

そんなときに彼女から別れを宣告され、彼女が抱えている想いも知らずに俺は身を引いてしまった。

その選択をしてしまったことを今も後悔している。

別れてからも柚希のことを忘れたことはひとときもなかった。

父は病院の安泰と俺の将来を心配し早く所帯をもってほしいと願い、見合い話を持ちかけてきたが、俺はあれこれと理由をつけて拒み続けた。
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