「affair」
二人で住んでいたアパートは、
すぐに解約の手続きを取り。


今月中に、空にして欲しいと、大家さんに言われた。


その辺りの事は清太がしてくれて、
私はそれを、LINEで伝え聞いただけ。


私と清太はすぐに離婚届けを出して、お互いの実家でそれから暮らしていたのだけど。


あの話し合いの翌週の土曜日。


私は自分の荷物を取りに行く為に、
その部屋を訪れた。



清太と一年以上一緒に暮らした、アパート。


私と清太は入籍はしているけど、結婚式はしていなくて。


式とかしない分、それを貯金して、
早く、家でも買おう、と話していた。



暫く誰も住んで居ないそのアパートの部屋は、ひんやりと空気が冷たい。


リビングへと足を踏み入れ、息が止まる。


リビングの大きな掃き出し窓のカーテンレールで、首を吊る清太の姿。


紐をレールに引っ掛け、それで首を吊っている。


もう手遅れなのは、見た瞬間に分かった。


ダイニングテーブルには、一枚の紙があり。


そこには、清太が書いたと思われる文字。



"花純が結城先生をずっと見ていた事、知ってる"


そう、書かれている。



もしかしたら、清太は私が結城先生と不倫している事を知っていたのだろうか?


このメッセージは、昔、私が結城先生を見ていた事だけの、意味じゃない。


私はその紙を握り潰し、ポケットに入れた。


隠す、ように。


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