兄の子を妊娠しました。でも私以外、まだ知りません 〜禁断の林檎を残せるほど、私は大人じゃないから〜
予備校の帰り道。
大体は21時過ぎ頃になる。
ほんの30分だけでも時間があれば
その後共に過ごしてから、家に帰る。
それが、これまでの私と彼の
恋人としての過ごし方。

ところが。
まもなく……夏がやってくる。
次々と、部活を引退した人たちが
予備校へと押し寄せている。

私はともかく
彼は、トップの大学を狙う人。
そしてきっと
私なんかには手が届かないところに
行ってしまう人。

そして彼の成績が下がったことを
予備校の掲示板で知ってしまった……。

だから、彼の勉強の邪魔にならないようにと
私は会う回数を減らすしかないと
思っていた。
だけど、私がそう言うと

「学校の後、予備校が始まる前まで一緒にいたい」

と彼が提案してくれた。
それから、私と彼の逢瀬の時間は、
放課後に変わった。
学校の帰り道から予備校に行くまでの間に
2人で待ち合わせをしてから
短い時間で繋がって、
それから予備校で
何事もなかったかのように
ほてる体で授業を受ける。
それが、新しい習慣になった。

もし、その習慣にしなければ
私は永遠に
私と彼の繋がりを知ることは
なかったのかもしれない。
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