絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ギリギリのタイミングで月が隠れ、暗がりの中でネコになって逃げてこられたから、変身のことはたぶんバレていないはず。けれど、敷地内に入り込んでいた少女のことは、騒ぎになっているかもしれない。
 ……まさか明日の朝、警邏隊が侵入者の調査で来てたりとかしないよね。
 ぅう~ん、困った。
 どちらにせよ、今後はちょっとやそっと寒くても絶対小屋には行かないようにしよう――!
 改めて心に誓うが、この二週間で飼いネコ暮らしに馴染んでしまったのか、以前よりも屋外の寒さが体に堪える。
《ふ、ふっ、ふぇっぷしゅっ!》
 言っている側から特大のクシャミがでて、タランと鼻水が垂れた。
 ……そう言えば、わたしって実はひとりで冬を越したことがないんだよね。
 前足でちょいちょいと鼻水を拭いながら、ふと思い至った。わたしは乳離れからしばらくして、母ネコとふたりで暮らしていた穴ぐらを追い出されたが、その頃季節は早春。新芽が芽吹き、日ごとに温かさを増していた。
 だけど、今はそれの逆で日に日に寒くなっている。
 ――ビュゥウッッ。
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