絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ……どうしよう。もう、まともに目を開けているのもつら……い――クテッ。
 わたしは襲いくる目眩と倦怠感に抗えず、ついに意識を失った。

***

 ……まさか、一度も屋敷に帰る間がないまま出陣の時を迎えることになろうとはな。
 屋敷の者たちは、俺が機密性の高い活動に従事しており、急な派遣や出陣が多いことも承知している。今さら俺が数日屋敷を空けたところで騒ぐこともない。だが、きっとルーナは首を長くして俺の帰りを待っているに違いない。
 ルーナと暮らすようになってから、俺が帰宅しない日はなかった。それどころか、多少の前後はあれど夕飯前には帰宅し、必ずルーナと同じ食卓を囲んでいたのだ。
 ……ルーナはちゃんと飯を食っているだろうか。毎日のブラッシングも、滞っていなければいいが……。
 こんなふうに、ワーグナー筆頭大臣の直轄地に続く森の中を部隊の先陣を切って進みながら、屋敷で俺を待つルーナへと思いを馳せていると――。
 ――ふみぃ。
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