一途な部長は鈍感部下を溺愛中



言葉に詰まりながら、それでもどうにか手に持っていた紙袋を差し出した私を不思議そうに見て、「俺に?」と訊いてきた。


もう顔が熱くて、顔を上げられず、俯きがちのままぶんぶんと頷く。


するとしなやかな指先が私の情けなく震える手から紙袋を浚い、恐る恐る顔を上げると、花が綻ぶように、ホットミルクに蜂蜜を溶かすように、あたたかくて優しく、眩しい微笑みが私を襲った。


「ありがとう。君が無事で、本当に良かった」


その、心の底からの蕩けた笑みに。優しい言葉に。


駄目だって、分かっていたのに。

東雲部長は女嫌いだって、絶対に、絶対にダメなことだって分かっていたのに。


それはもう簡単に、不意をつかれ背中を押されたかのように。


コロン、と呆気なく私は恋に落ちてしまった。


──そして、私の前途多難な恋が始まる。











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