きみの隣にいるために(編集中)
プロポーズ宣言

端正な顔立ちをしていた一吹くんは、子供の頃からおばさま達のアイドルだった。


そんな彼が本当にアイドルを目指すことになった時、私は少し寂しさを感じながらも全力で応援しようと決めた。


一吹くんならきっとデビューできる。


そしたら、幼なじみの男の子はいつか手の届かない所へ行ってしまうかもしれない。


けれど、5歳も年下の幼なじみに本気で恋をするよりも、アイドルになった彼を応援する方がきっと良い。


だって、どれだけ近くにいても好きだなんて言葉は口に出せないから──。


そうやって、一度は自分の気持ちから目を逸らした。


数年後、一吹くんはBijouとしてデビューが決まり“本物のアイドル”になった。


そんな一吹くんに私は一つ嘘をついた。


同じグループの煌のファンになったなんて嘘。

一吹くんのファンだと伝えられなかったのは、そこに邪な気持ちがあったから、嫌われるのが怖かったから。


目は逸らせても、想いは消せなかった。




そして、迎えた22歳の誕生日。



「俺がアイドルになった理由わかってくれた?」


一吹くんから語られたのは、彼がアイドルになった理由(わけ)だった。

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