もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜

聞こえないの、あなたの声が

+++——

あれ……?

ここは、どこ?

私は、横になっているの?

何?

体が動かない……。

声が、出ない……。

私……どうしたの……?


「さ……さん!き…………すか!こ……さん!?」


何だろう。

誰かが何かを言っているのはわかるのに。

何を言っているのかわからない。

ちゃんと聞こえない。

私……何があったの……?

今、何が起きてるの?

わからない……!

誰か教えて……誰か……!!



「琴莉!!!」


誰かが、私の手をとってくれた。

首がほとんど動かないから、目だけ動かす努力をしてみた。

そこには、いるはずのない人がいた。

どうしてそこにいるのか、わからない人がいた。

でも私は、どうして?と聞くこともできなかった。

ただただ、困惑の渦の中に飲み込まれているだけ……。
< 143 / 202 >

この作品をシェア

pagetop