もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
そもそも、俺は4月に琴莉と再会をした時は、こんなに琴莉と離れているはずじゃなかった。

頭の中で、あらゆるシミュレーションをした。


「元気か?」

「大変そうだな、手伝うよ」

「学校には慣れたか?」

「寄り道の穴場、教えてやるよ」


などなど、何かにつけて琴莉に話しかけようと思い、メモ帳に簡易シナリオをいくつも作っていた程だった。

他の人とは気軽に話せる。

勝手に話しかけてくれて、自分は相槌を打つだけだから。

それはとても楽だ。

脳を使わなくていいから。

でも琴莉に対してはそうはいかない。

分かっていたけれど、琴莉から俺に話しかけるということは一切ない。

寂しいと思ったけれど、仕方がないとも思った。

だからこそ、ここから琴莉と俺の関係性を新しく築いていけばいい。

そう思っていたのに、俺は大きな計算違いをしていた。


自分が琴莉に執着するように、俺に執着する人間が0ではなかったことに、どうして俺はこのタイミングまで気づけなかったのだろう。
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