俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「え? もしかして、違う方のご趣味が?」

「違う。それも違う。その、ま、うー。そうだな。君に誤解を与えるようなこともしたくない」
 ということで、渋々とカリッドは二十年近く前の黒歴史を暴露した。モニカに引かれるかと思ったそのことだが、彼女は真剣に話を聞いて「大変でしたね」と優しく頭を撫でてくれた。それは子供の頭を撫でる母親のように。

「だけど、俺があの第四騎士団に配属され、君を初めて見た時、こう、心の中が疼いた。それがなんでそうなったのか、ということを理解するのに半年もかかった。女性に対して、そのような気持ちを抱くことは無いと、そう、思っていたからだ」

「てことは、やはり違う方のご趣味が?」

「それも断じて違う。俺のは、ただの女性不信だ。だから、見合いをしたくない理由の一つにそれもあった」

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