俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「今日はモニカの買い物に付き合うことにしよう」

「ありがとう。だけど、この子のものはもう買わないからね」
 モニカがお腹をさすりながら言う。

「わ、わかった」

 カリッドから見たら、そのように大きなお腹のモニカがその辺をふらふら歩いていることも不安になるのだが、これは個人差があるらしく、モニカは動いてもいい方の人間でむしろ積極的に動けと言われているらしい。
 こうやって二人きりで出掛けることも、これからは減るのかもしれないな、とカリッドは思っていた。そう、これからは二人きりではなく三人になるのだ。それを想像しただけで、なぜか顔がにやけてきた。そんなカリッドを、モニカは目を細めて見ていた。まるで不審者でも見るかのように。

 モニカが行きたいと言っていた場所は、巷でも有名なお菓子屋さんだった。何やらここにお菓子を予約していたらしい。出かける予定が無ければ侍女に頼もうとしていたところだったとのこと。

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