俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
(こ、怖い……)
 というモニカの心の声と。

(か、可愛すぎる。今すぐにでも押し倒したいくらいだ)
 というカリッドの心の声と。
 お互いのその声は誰にも届かない。
 ウオッホンとわざとらしく咳払いをしたカリッドであるが、なかなか言葉が出てこない。その様子を見かねた店員が口を開いた。

「もしかして、奥様はあのリヴァージュの民ではないですか?」

「あ、はい」
 店員の言葉にモニカは頷いた。

「やはり。その御髪といい、肌の色の白さといい。リヴァージュの伝統衣装も素敵ですが、このようなドレスもお似合いです」

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