俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 つまり、カリッドはこう見えて、女性との接触に対して耐性がないということ。いや、女性との接触ではない。むしろ相手がモニカだからだ。カリッド本人はそれにすら気付いていない。
 先ほど、出かける前に軽く彼女に口づけをしたときには耐えられた。恐らく、一瞬だったからだろう。だけど、今は辛い。だって、宿に着くまでずっと彼女のそこに触れているわけで。

「だ……リディ、どうかしましたか?」
 さらにこうやって彼女から見上げられてしまったら、カリッドの心臓はドドドドとリズミカルに太鼓を叩くように鳴り始める。これではモニカに気付かれるかもしれない。

「なんでもない」
 とりあえず、カリッドは第四騎士団のメンバーを脳内で思い浮かべることにした。あの男くさいメンバーを思い浮かべれば、カリッドのヤツもきっと落ち着いてくれるだろう、と。
 むさ苦しい騎士が一人、胡散臭い騎士が二人、鬱陶しい騎士が三人……。

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