狂った愛はどんな色?
喉にそっと手を当て、真希は少し寂しそうに微笑む。幼い頃から低めで女の子らしいとは言えない声が、真希はずっとコンプレックスだった。

そんな真希が高校生の頃、ネットに歌ってみた動画を上げていた友達に誘われ、「ロメオ」を歌ったことが運命を変える大きな出来事だった。

『女の子が歌ってるなんて、信じられない!上手いし、綺麗な声だし、かっこいい!』

そんなコメントがたくさん集まり、投稿した動画は日に日に再生回数を伸ばしていく。友達に「歌い手になっちゃいなよ」と言われ、真希は歌い手ルビーとして活動を始めたのだ。

「僕は、真希ちゃんの声が大好きだよ」

ボウッとしてしまった真希の手を夏希が包む。夏希は優しく、そして目を輝かせながら真希を見る。

「芸術や音楽ってさ、こうあるべきとかルールなんてないと思う。好きなように自分の世界を描いたり、歌ったり、創造していく。それが音楽とか芸術の世界だと思うよ」

「夏希……」
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