ママの手料理 Ⅱ
奪還
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同日、夜。


「…結局仁と一緒なんて、この世界は何て意地悪なんだ……」


「何て幸運なんだ、の間違いでしょう?僕の前には薔薇色の花道が見えてるけどね」


「お前らうるせえ黙れ、黙れないなら今すぐ死ね」


紫苑ちゃんが囚われている場所に向かう車の中、俺は銀子ちゃんの運転する車の中で早くもめげそうになっていた。



銀子ちゃんの頑張りもあり、紫苑ちゃんが居るであろう場所はすぐに目星がついた。


その場所が俺達のいる所から離れたS県で警察もそこまで捜索の範囲を広げておらず、琥珀とリンちゃんは手柄を立てられないと残念がっていたけれど。



俺達はあれから何度か話し合いを重ね、取り敢えず俺と仁が中に入って紫苑ちゃんを救出し、車の中でハッキングと共に建物内にドローンを飛ばす銀子ちゃんは、もし俺達が危険な状態になったら助けに来る、という流れの計画を立てた。


しかし、今回俺達が侵入する建物は古過ぎて天才ハッカーの技術を持ってしても設計図が見当たらず、中の様子がほとんど分からずじまいだった。


だから、彼が遠隔操作でドローンを飛ばす事で中の様子を俺達より先に把握し、その情報を元に俺達が中に入る事になった。


そして、ドローンの映す景色と俺達の会話は全て、残りのmirageが見聞き可能とする事で話がまとまった。




…いや、まとまってなんかいない。
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