ママの手料理 Ⅱ

可憐に咲く花

「っ………あぁああ紫苑ちゃあああん!良がっだ、ううう良がっだあ"あ"!」


私ー丸谷 紫苑ーの目の前に膝から崩れ落ち、顔を覆って子供のように泣き出した大也を見て、私は困り顔を浮かべながらそっとその膝に手を乗せた。


「ごめんね、沢山心配かけてごめんね…もう、ちゃんと思い出したよ」



私の目の前にいるのは、伊藤 大也18歳。


染井佳乃の元に居た時に唯一覚えていた番号に電話したら出てくれて、そして私を助けてくれた命の恩人。



彼の後ろで鼻を啜っているのは心配性で優しいmirageのリーダーの湊さん、その隣で欠伸をして涙を誤魔化しているのは、mirage屈指のナルシストの仁さん。


彼らは優しくていつも私を笑顔にしてくれて、とても頼もしいmirageの両親役。



安心した様に胸を撫で下ろしているのは、大也からの猛烈な愛を受け止め続けている琥珀、その隣で疲れ切ったのか老人のような顔をしているのは厨二病気味の銀ちゃん。


2人は今までずっと怖い人達だと思っていたけれど、記憶を取り戻した今ではそんな感情は微塵もない。



良かった…、と膝に手を当てて休憩ポーズを取っているのは、同年代で無表情を極めた少年、航海。


洗脳という名の呪いは彼のアドバイスのお陰で解けたと言っても過言ではない、ありがとう。
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