ママの手料理 Ⅱ

捜索

「こんにちはー。すみません、南山警察署の中森と申します。少しお話があるのですが、お時間大丈夫でしょうか?」


『はい…少しお待ち下さい』


インターホンから流れてくる女性の声を聞いた中森は、それ見たことか、と言いたげな顔で俺ー高杉 琥珀ーの方を見上げてきた。


「…んだよ」


「人様に許可をとる時はこういう口調で話すんですよ琥珀さん!いつもいつも脅して口を割らせてますけど、たまにはこういった優しい口調にならないと駄目なんですからね!」


俺より年下のはずなのに生意気な口をきいてくる後輩に、俺ははいはいと生返事をする。



チビーいや、紫苑が行方不明になってから3ヶ月が経った。


3ヶ月だ、普通なら有り得ない。


あの日、いつもの様に店を出た彼女が何処に行ってしまったのか。


警察官としてのプライドをかけ、俺と中森は店近くの防犯カメラと名のつくものは全て調べ、彼女の親戚の元に聞き込みに出掛けた。


それなのに、彼女に関する手掛かりは何も掴めない。


最初こそ彼女の失踪の原因は“家出”と睨んでいた俺達だったが、流石に失踪から1ヶ月も経つとそんな呑気な事は言っていられなくなった。


これだけくまなく捜索しているのに、彼女の髪の毛1本出てこない。
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