ママの手料理 Ⅱ
「…ああ、なるほど。分かった、2人だけの秘密ね!」


“お揃い”という言葉が、やけに嬉しくて。


0823番がドアを閉める直前、


「お揃い、嬉しいね!」


と、私は呼びかけた。


「……はい、とても!」


驚いた様な顔をした0823番はドアを閉める直前、はち切れんばかりの笑顔を浮かべてくれた。







0823番がスマホを持ってきてくれたあの日から、私の生活は劇的に変化した。


今の正確な時間が分かるし、暇な時は写真を撮って遊べる。



「…そうだ、0114番様。あと1つ、教えたい事があるのですが」


数日後、お昼ご飯にお茶漬けを食べている私に、キャベツと人参のみのサラダを食べていた0823番が唐突に口を開いた。


「ん?」


言葉の意味がよく分からずに首を傾げると、


「スマホの事です、少し操作させて下さい。…こちらのボタンを押して、左下の“緊急”と書かれたボタンを押すと」


そう言いながら彼女は私のスマホを弄り、0から9の数字が書かれた画面を出した。


「この画面のこの数字を押して、右下のボタンを押して頂くと、外部と電話をする事が出来ます」


「へー…」


電話の意味を何故か知っていた私は、こくこくと頷いた。


「……それでですね、0114番様」


そこで、0823番は声を潜めた。
< 77 / 273 >

この作品をシェア

pagetop