裸足のシンデレラは御曹司を待っている
24
朝の日差しが、カーテンの間から漏れている。
その眩しさに起こされた。
真哉は、気持ちよさそうに寝息を立てていた。昨日の夜はいつもより遅く寝たから、ゆっくり寝かせてあげたい。

身を起こし隣のベッドにいる直哉の様子を伺った。
直哉もまだ眠っている。薄明かりの中、彫りの深い顔立ちに陰影がついている。濃く長いまつ毛が縁取る切れ長の目。眠っていても綺麗だな、なんて見つめてしまった。

視線を感じたのか、直哉の瞼がパチッと開く。私を見つけるとニコッと微笑み「おはよう」と寝起きの少しかすれた声が聞こえた。

朝から男の色気が駄々洩れてる……。

その色気にあてられて朝からドキドキしてしまった。
邪な思いを隠しつつ、「おはよう」と返事をして、立ち上がる。

「おはよう、掃除をしてから出たいから、協力してね」

今日は、東京に行く日だ。別荘の管理人としては綺麗に掃除をしてから鍵を返したい。
先に直哉にシャワーを浴びてもらい、入れ替わりにシャワーを浴びて、服を着たら浴室の掃除をして、そしたらご飯食べて、シーツ取り変えて、掃除して、車に荷物を積んで……。ああ、大忙しだ。

でも、忙しい方が余計な事を考えなくていい。
そんなに焦らなくてもいいのに、気持ちがソワソワしている。

服を詰めたバッグを開けて、何を取るわけでもないのにかき混ぜて、閉じたりしていると、直哉が優しい瞳を向ける。

「大丈夫だよ。飛行機に乗れば直ぐに来れるんだから、何度でも来れるよ。泡盛を預けているから取りに行く用事もある」

「うん、わかっているんだけどね。来週にも荷物を片付けに帰ってくるし……でも、なんだか落ち着かない」
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